ーーーガチャ


扉の開く音にびっくりして、思わず背を向ける。


「ほいよ」


あたしの座ってるすぐそこのテーブルに、コトッと音がなる。


「……ありがと…」


そこに置かれたのが、あたし専用のピンクのカップだってことはすぐにわかる。

なにも言わなくてもわかってくれる。


あたしが落ち着きたいときは、このカップに砂糖たっぷりの紅茶淹れて飲むこと。

これを知ってるのって諒汰ぐらいじゃないかな?


相変わらず背を向けたまま、カップに手を伸ばしスーッと紅茶を飲む。


甘くておいしい…。

諒汰ん家の紅茶の味。


やっぱ、諒汰いれば落ち着く。

諒汰ん家の紅茶も、諒汰部屋も…


嗚咽も止み、静かな空気。


「あのね…聞きたいことが…あるの」