遅いなぁ…


パッと携帯を見ると、待ち始めてから1時間はゆうに超えてる。



もぉ、帰っちゃったのかな…



帰ろうと門に背を向けると


「蜜羽?」


耳に馴染んだ声。

こんな呼び方するのは


「諒汰…」


コイツだけ。


「お前、何やってんの?!」
「……待ってた」
「は?」
「諒汰のこと、待ってた」


何、緊張しちゃってんの?
なんで声ちっちゃくなっちゃってんの?
あたし!しっかり~!


「一緒に帰れねぇって毎日言ってるよな?最近は言わなくてもバラバラに帰ってたし」
「………」
「なんで待ってたんだよ?」
「………」


肝心なときに言葉が出ない…。


「なぁ、」
「………」


やっば!
諒汰、ちょっと怒ってんぢゃん!

でも、何言えばいーの?!
ダメだ。頭ん中真っ白ー!

いっつも、あーんなにベラベラしゃべってんのにーーー!


「とりあえず、帰ろーぜ」
「………」


歩き出した諒汰後ろをちょこちょこついて歩く。


「………」
「………」


沈黙の帰り道。
こんなこと今までなかったのになぁ…。

とにかく話そう。
今聞かないで、ずっとあんなんじゃヤだもん。


「ねぇ」「なぁ…」


重なる声。
ちょっ、タイミング…


「なに?」
「いや…なんもねぇ。そっちから言えば」
「あ、あたしも…なんにもない」


せっかく話すチャンスを、あたしったら!
ばかばかばかー!


「言えば?」
「いい。諒汰が言って」
「………」


少しの沈黙のあと、諒汰が口を開いた。


「蜜羽って、俺のことどー思ってんの?」


…?

????

????????


?…!!!!!!!



頭の中がはてなマークだらけで、はてなマークがなくなるころには驚きが隠せなかった。


「えっ、ちょっ、は?ん?えっ、ってえーーーーー!!!!?」
「別に、んなに変な意味じゃねぇよ」


冷静な態度に、自分がアホらしく思えてくる。

そ、うだよね?
そんなわけないよね…
あたしったら…


「お、幼なじみでしょ?
うん、そう!ただの幼なじみ♪」


せっかくのチャンス…!
逃したー!!

いや、ここで告ったところでたよね?


「ふーん」


えっ?何…その反応。


「俺って、お前にとって特に必要ぢゃねぇ?」


い、いきなり何言うの?!
なんか、全然考えてることわかんないんだけどー!


「まっ、まぁ…諒汰なんていなくても、あたししっかり者だし」


ちっがぁーーーう!
こんなこと言いたいんじゃないのに。

好きとは言えずとも、せめて必要とぐらい言わなきゃ…
また避けられちゃう。


「そっ」


なんで…こんな冷たいの…?


「じゃっ」


えっ…じゃって、さよならってこと?
諒汰にもあたしはいらないってこと?

そぉ思うと、自然と溢れ出した涙。


「は?!お前、なに泣いてんの?!!」
「えっ…?」
「家、着いたぞ」
「えっ?あっ!あぁー!」


あたしは逃げ隠れるように家に入った。


「変なやつ」