いつもと同じ帰り道ーーー
隣を歩くのは、諒汰。
斎藤 諒汰*サイトウ リョウタ
あたしの大好きな…
幼なじみ
決して彼氏なんかじゃない。
諒汰は、一般的にもイケメンで、意地悪だけど優しくて…
あたしにとっては王子様なんだ。
そしてあたしは、空露羽。
薔 空露羽*ミズタデ クロバ
なぁ~んて可愛くなぃ名前なんだろー。
ホント「くろば」って。
ママによれば「産まれたのが梅雨の時期、6月なのに、空は綺麗な青空で、あんな大空に羽ばたいてほしい」だとかなんとか。
そんなあたしのことを諒汰は
「蜜羽、お前ボーっとしすぎだろ」
みつばって呼ぶ。
くろば→クローバー→みつば
なんだとか。
実は空露羽より気に入ってたりもする。
蜜羽ーー
それは、あなたしか呼ばない特別な名前。
「おーい、蜜羽?聞いてんの?」
「えっ?あっ、ごめん」
「もー。蜜羽って、どっか抜けてる」
「えーー」
今日も他愛ない会話が続く。
あたしの気持ちは伝わってないから。
ううん。
伝えて…ないから。
あたしの家と諒汰の家は通りを挟んだ隣同士。
あたしの家は学校側。
「それじゃ!」
「おー、また明日なー」
いつもと同じ別れの挨拶。
なんら変わらない。
ただの挨拶、ただのばいばい。
特になにかにひっかかることもなく家に入って行った。
相変わらず、なんにもない毎日。
こうして、諒汰と登下校して…
学校では友達とワイワイはしゃぐ。
こんな生活が毎日続くと思ってた…。