「それでね、空斗から琴音チャンにって 預かってたんだけど…」



海生さんがカバンから一枚のDVDを取り出した。




受け取って見てみると




“Kotone,Kuuto”(コトネ、クウト)と書いてある。




なんだろ?ビデオレター?




再生してみると、ぱっと空斗が写る。




『あれ…?これ、撮れてる?あ、撮れてるわ!!




えーっと琴音がこれを見ているってことは、俺はもういないってことだよな?




ゴメンな…?ずっと一緒にいれなくて。』




あたしの大好きな声。




『もう、心臓移植の事は母さんから聞いたかな?




どうりでほら!ドナー登録カード!!』




そう言って、カードを見せる空斗。




顔はあたしお気に入りの八重歯に見えた笑顔だった。





『俺は、琴音が居てくれて、すごく幸せでした。




でも、先に死んじゃって、何も返すことは出来なかった。




だから、俺は琴音に“命”をあげることにしたんだ。




もう、死にたいなんて言うなよ?




俺の分まで永くしっかり生きろ。




で、俺は琴音に“命”ともう一つ、“勇気”をあげることにしました。』




涙が大量にあふれて止まらない。




空斗…何も返せてないわけ無いじゃん。




あたし、いっぱいもらったよ?