「琴音…?入ってもいいか?」







…蓮?







「うん。」







そういうと、蓮は静かに扉をあけて、部屋に入ってきた。







「…大丈夫…か?」






そう聞いてきた蓮の方が、苦しそうな顔をしている。







「…蓮…。無理しないでいいよ。」







あたしがそう言うと蓮はうつむき、ひそかに涙を流した。







「ごめん…。男なのにな。」







「男だからって、涙は出るんだから…。」







「そうだよ…な。」






そして、ハハッと笑い、顔を手で隠した。






「俺、空斗に…忘れられちまった…。」








…!?…蓮まで…。







「親友なんて、言葉上だけだな…。こんなにもあっさりと…。」






「俺も、海生さん見てられなくてそれで…いったん部屋から出たんだ…。そしたらもう、俺の事"誰?"って…」







蓮の涙が痛々しくて。







あたしは蓮をギュッと抱きしめた。







「…琴音…?」







「大丈夫。浮気にはならないから。」






「ん。さんきゅ」





蓮を抱きしめるあたしの手はかすかに震えていた。






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