「・・・さんっ・・・らいさん・・・・・・桜井さん・・・!!!」





はっとして横を見ると、藤本さんがお怒りモードで私の脇に立っていた。


私はまた自分の殻の中に閉じこもっていたようで。


何かあるとすぐ周りが見えなくなってしまうのは悪い癖だ。



「すみませんっなんですか!?」



「なんですかじゃないわ!何度も呼んでるのにっ!」



物凄い剣幕で私のデスクに応対表を叩きつけた。




「またミスが二つあったの!クーポンのチェック!」



「あ・・・すみません・・・」



藤本さんは私を上から見下すような目つきで、



「あーいう仕事も大変だろうから疲れるのはわかるけどー、昼間の仕事もちゃんと真面目にやってちょうだい」


と、周りに聞こえるように言った。



そして「玲人はもうあなたの事なんてただの部下としか思ってないみたいよ」と、耳元で言い、含み笑いを見せながら自分のデスクに戻っていく。



私は言葉もでなかった。



隣で聞いていた伊藤さんが、少し呆れた顔をして。



「あんなの気にするんじゃないわよ、クーポンなんて私もしょっちゅう忘れるもの!ていうか、なんで桜井さんの事ばっかり目の敵にするのかしらねぇ!」



私を心配そうに見つめ、ため息をついた。