「夕方電話で突然・・・好きな人できたから別れてほしいって言われて・・・」


「電話で!?」


「最初嘘だと思ってたんだけどなんか本気っぽくて・・・もう・・・私どうしたらいいか・・・アユムがいなくなっちゃったら・・・」



マリナの目からまた大きな涙が溢れてきた。



「マリナ!とりあえずこれで目冷やして!そんなに泣いたら目痛くなっちゃうよ」



私は厨房から冷たいおしぼりを持ってきてマリナに渡した。それを瞼の上に置いてしばらくじっとしている。




「そんな大事な事電話で済ませようとするなんてありえない。アユム君今日出勤かな」



「サナさんっ店に行くんですか!?」


「当たり前じゃん!マリナも一緒に行くよ!」



そう言って私はロッカーから荷物を取り出す。



「私はいいっ・・・会うの怖いもんっ」


「そんな、怖くなんかないよ!このままじゃ納得いかないでしょ!?大丈夫、私がそばにいるんだから」




マリナを抱きしめるとまた泣き出してしまった。



お客さんにもらったプレゼントなどはまた後日取りに来るということにして、私は花束とバッグを持ってマリナと店を出た。