そうかもしれない。恵理香に言われなくてもそれは心のどこかで思っていた。
「それなのにあの玲人の先輩には全て話してるように見えたわ、二人は固い絆で結ばれているような・・・玲人がいるのにあの子は他の男と・・・」
「もういい。わかってる」
少し強い口調で言い、俺は立ち上がった。
確かにあの店で働いてることはショックだった。
でも俺は桜井が風俗をやっていることを隠していたから怒っているのではない。
飯田先輩が、俺にはわからない桜井を知っていたから腹を立てたのだ。
恵理香が言っていたように、俺には知らない二人の時間がある。飯田先輩は、本当に桜井を想っているんだということがさっき会った数分間だけでもよくわかった。
俺も甘かったのかもしれない。もっと桜井の事を聞けばよかった。
そして早く夜の仕事を辞めさせるべきだった。
「勝手に飲み屋だと思い込んで、何も聞かなかった俺も悪かったのかもな・・・」
そうつぶやくと同時に、恵理香が後ろから抱きしめてきた。
「玲人は悪くないわ!絶対に・・・」
「えり・・・」
「好き・・・好きなの!ずっと昔から愛してるわあなたを!」
そう言い、俺をソファーに押し倒し、キスをしてきた。



