「そうです・・・恵里香さん、すっげー綺麗だから。なのに・・・その綺麗な顔がどっか悲しそうで。勘違いだったら悪いんですけど・・・なんか今にも泣き出しそうな顔してたんで」
ドクンと心臓が波打った。
私はあの時泣きだしそうな顔をしていたのか・・・
掴んでいたグラスに力が入る。
「・・・なに・・・それ!そんな事ないし。悪いけど、私そんな安っぽい口説き文句にひっかかるような女じゃないから!」
入っていたビールを一気に飲み干した。
「そうっすね・・・俺の勘違いならいーんです。でも、俺が一目ぼれしたのは本当です・・・ホストだから信じてくれないかもしんないけど・・・マジなんで・・・」
アユムは真剣な眼差しをしていた。
ホストが私に一目ぼれですって?・・・笑えるわ。
それからしばらく、他愛ない話をした。
アユムが私より二つ年上だということ、姉と妹がいて、自分はいつもパシリにされてたけど妹はカワイイという事、ホストに勤めて3年になるという事。
アユムは話し上手で、終始私を楽しませてくれた。
カクテルも5杯ほど飲み、いい感じにほろ酔いになってきた頃、アユムがトイレに立った。
その時、マスターが近くに寄ってきた。



