今夜 君をさらいにいく【完】



近くのコインパーキングに、黒崎さんは車を停めていた。

高級感漂う革のシートに座る。



「あの・・・高そうな車ですね。なんていう車なんですか?」


「レクサスだ」



そう一言言い、車を発進させた。

黒のレクサスは颯爽と街中を通りぬけた。




「お前、この前お台場に行きたいって言ってただろ」


「はい!覚えていてくれたんですね」




こういう些細な事が物凄く嬉しい。



私達はお台場デートを楽しみ、夕飯は黒崎さんの家で、私が作ることになった。


お台場では手を繋げなかったけど・・・


家ではいっぱい甘えられるもんねっ



マンションに着く前に、近くのスーパーで食品を買うことにした。



料理ができるんだって所を見せたい。

私は和食を選んだ。ブリ大根にタコときゅうりの酢の物、ひじきの煮物も作ろうか。


隣では黒崎さんがカートを押してくれている。


こういうのもずっと夢だった。


するとその時、聞き覚えのある声が私の耳に響いた。



「なに・・・やってるの?」