土曜日、私は心を躍らせながら待ち合わせ場所に向かった。


ポンチョ風の薄手のコートに白いニット。花柄のスカートは膝より少し短めだ。10センチのピンヒールは先週ネットオークションで500円で落としたものだけど、安くは見えない・・・はず。


黒崎さんは身長が180センチ近くあるので、155センチの私は10センチヒールを履いたとしても、まだ結構差がある。


ショーウィンドウに映る私を眺める。


うん、悪くない。




待ち合わせにしていた表参道のカフェは、休日という事もあり、多くの人で賑わっている。

私はチョコレートたっぷりのブラウニーモカを注文し、窓際に座った。一口すすると、口いっぱいにチョコレートの甘さが広がる。


ふと窓の外を見ると、黒崎さんが店内に入ってくるのが見えた。


黒のジャケットに、中はチャコールグレーのロンティと、ボーダーのインナーを重ね着している。ラフな中にも清潔感を感じさせる所は黒崎さんらしい。


彼の私服を初めて見た。あの人が私の彼氏・・・だなんて未だに信じられない。


私の姿に気づき、近づいてくる。



「おはようございますっ」


「早かったな」



そう言って、私の向かいの席に腰かけた。