数日間、私のテンションは下がったままだった。
黒崎さんと晴れて恋人同士になれたというのに、飯田さんの事が頭から離れない。
「桜井さーん、携帯なってますよぉ」
昼休み、食堂で一緒にお昼を食べていた理沙ちゃんが私に言った。
「あ、うん・・・」
お弁当を食べる手を止め、私は携帯を開いた。その様子をじっと見ていた理沙ちゃん。
「なぁんか桜井さん最近落ち込んでません?三条君となんかあったんですかぁ?」
「え!?なんで三条君?」
「あれ?三条君と付き合ってるんじゃないんですか?」
「つ、付き合ってないよ!私はくっ・・・」
言いかけた言葉を飲みこんだ。危なく“黒崎さん”って言ってしまうところだった。
どうして皆私と三条君が付き合ってるって思ってるのだろうか。
「えーそうなんですかぁ?だって三条君、桜井さんの事すごく好きじゃないですか!」
理沙ちゃんが目をぱちくりさせながら言う。
「・・・そんなわけないでしょ!」
そうは言ったものの、三条君が私に好意を寄せている事はうすうす感じていた。でも私は気付かないふりをしていた。



