飯田さんを傷つけるとわかっていても、自分がどれだけ最悪な女なのかを知ってほしかった。
自然に涙が溢れてきて、頬を次々と濡らしていく。
それを飯田さんは悲しそうな笑みを見せながら拭ってくれた。そして私を優しく包み込むように抱きしめる。
「・・・そういう所が好きなんだよなぁ」
「・・・っえ・・・」
「そういう言わなくてもいい事を正直に言っちゃう所」
顔はもう涙でぐちゃぐちゃだ。飯田さんは鞄からティッシュを取り出すと、私にくれた。
「君はこういうお店、向いてないよ。キャバクラも長く続けるべきではないと思う」
「・・・・・・」
「お金の事、もう一度よく考えてほしいんだ。俺のためにも・・・そうさせてほしいと思ってる」
化粧がとれて、見るも無残な姿なはずなのに飯田さんは笑いもせず、私の顔を見つめてくれている。
こんなに良い人を・・・私は振ってしまった。
後悔にも似た気持ちが押し寄せてくる。
飯田さんは私が落ち着くまで、ずっと抱きしめてくれていた。



