「意味のないことなんてないのよ。この世の中、無意味なことなんてないから…」



 ユイは、レンが手にした、まだ浮き上がってこないポラロイド写真を見つめてそう言った。

 その顔は、何処か寂しそうで。



「…いい、記念になるわね」



 そうユイが呟いた時、微かに異様な気配を感じる。



「何だ?」



 エイジが立ち上がると同時に、窓ガラスが割れた。



「手榴弾!?」

「外へ出ろ!!」



 三人は玄関から外に飛び出す。

 次の瞬間、爆発が起きた。



「………!!」



 爆風に吹き飛ばされて、三人は廊下に倒れこむ。



「ごめん、私が後をつけられたのかもしれない…」



 けほけほと咳をしながら、ユイは言った。



「いや、それだけじゃねェと。俺たちの客かも知れねェしな」



 硝煙の匂いが立ち込める中、ユイを抱き起こしながら、 エイジは言った。

 だがまだ 、アパートを取り囲む殺気は消えてはいない。



「どっちにしろ長居は無用だ。逃げるぞ」



 いつの間にか日本刀を握りしめ、レンは言った。



「オマエ、ほとんど無意識に武器取ってるだろ」



 呆れたようにエイジが言う。

 アパートの廊下には、すでに敵が待ち構えていた。

 レンは手早く、そいつらを片付ける。



「おい、一人くらい動けるようにしておけよ。じゃねェと 、こいつらどこの誰なのかわからねェだろうが」



 言いながら、軽い身のこなしで敵を蹴り倒すエイジ。

 敵はあっけなく倒れる。



「…テメェもな」



 振り返るレンの言葉に、エイジは肩をすくめた。