そんな雑踏の中であいつだけが唯一、平然と座っていた。


彼女のことなんて既に頭の中から消えているのだろう。


罪な男である。


私は小さく溜め息をついて席を立った。


あいつのことは今はどうでもいい。


問題なのは、今出て行った彼女が私の友達だということなのだ。