「ノ、ノイトラさん……」
「何ですの?」
偶然入った部屋に居合わせたノイトラに、ウォルトはうわずった声をかけた。
3回ほど咳払いし、
「そのドレス……なんとかなりませんか?」
「なんとかとは?」
だんだんと顔が赤くなっているであろうことはウォルトも自覚していた。
「あの……目のやり場に困って……」
「あらあら」
ノイトラはそっとウォルトにしなだれかかった。
ウォルトが意味不明な悲鳴を上げる。
「可愛いこと」
そっとウォルトの顎に手を当てる。
ノイトラのほうが背が高かった。
「籠絡したら、リヴェ様はどんな顔をなさいますでしょうか……」
ウォルトの目の前に、申し訳程度に隠された胸元がある。
振り解こうとするが、どういう力なのか全く振り解けない。
ウォルトが悲鳴を上げる直前、
「大丈夫ですわ。義理の伯父に手は出しません」
「……へ……? お……じ……?」
「あら?」
意外そうに、
「リヴェ様の妻の兄で、わたくしの義理の伯父でしょう?」
ああ、そう言われればそんな気も……。
「可愛い坊や、また会いましょうね」
言ってノイトラは部屋から出て行った。
ウォルトは、何の用事でこの部屋に入ったのか、もはや思い出せなくなっていた。
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