ガラッ


教室のドアが勢いよく開いた。
すると、そこには.....

息を切らした、春斗くんがいた。


「やべ、久しぶりにこんな全力で走ったわ」

そういって、前髪をかき上げた。


私たちの間に静かな時間が流れる。
ど、どうしているの?
部活は?翔太はいいの?
私には疑問だらけ。


「大田.....ゆいでしょ?」

突然自分の名前を聞かれ驚く。

「そ、そうです。」
うわー、めっちゃきょどっちゃった。泣


「ははっw なんで敬語?同い年なのにw」
そう言って笑う彼。

さっきは遠くからでわからなかった顔が、今ははっきりしている。
キリッとした、大きな目に高い鼻。女の子みたいにちっちゃい顔で、笑ったときにできるエクボに惹かれる。


「なんとなく?です」

なんだか、めちゃめちゃ緊張して...上手く話せない。。。

「ほら、また敬語。」
「あ...><」

「はははっw そういや、大田さんさ、メール見てくれた?」
「え!!!!」
「え?笑」
「え!いや、その、見ました!じゃなくて...見たよ?」
「言い直したし...笑 そっか、気づいてくれたのか。よかった」

よ、よかったの?
そもそも、なんで私なんかにメールくれたんだろ?

「俺さ、今日部活休んじまおうかな」
「え?ど、どうして?」
「お、タメになった。笑 そっちのがいいわ。 いや、なんとなく、行く気なくなった。笑」
「で、でも...翔太、部活行ったよ?」
「翔太?あいつは、いいんだよ。つか、俺最近ビッチリ部活行ってるから、息抜きしたかったんだよね。だから、丁度よかった」


息抜き...やっぱ運動部って、大変なんだなぁー


「じゃあ、帰ろっかな」
「う、うん!じゃあ、またね!」

私も帰ろーっと。

「え?何言ってんの?一緒に帰ってよ」
「え!?!?」

いいいいいいいいいい、一緒に帰る!?
私と!?春斗くんが!?

無理無理無理ー><


「え、いやなの?」
「いや、その...」

いやじゃないんだけど......恥ずかしいから.....
でも、そう言えない....恥ずかしいなんて、言えないよ...

「そっか。急に誘う俺が悪いか(^^;)悪かったな。じゃあ、気をつけて帰れ」

そう言って、教室をスタスタと出て行ってしまった。


どうしよう。また誤解させちゃった。もう、なんで私って。


でも、こんなのヤダ。こんな風に関係悪くしたくない。追いかけなきゃ!


私は急いで階段を駆け下りた。

すると、下駄箱で靴を履き替えている、春斗くんがいた。


「あ、あの!!!!」

自分でもびっくりするくらい、大きな声で彼を呼んだ。

ゆっくり振り返って、私を見る春斗くん。その凛々しい瞳に、言葉が詰まる。
でも、今日だけは頑張らなくちゃ。言わなきゃ。


「帰るの...嫌なんかじゃないよ。私、恥ずかしいだけだから...いつもいつも、ちゃんと言葉にできなくて、誤解させちゃうの。ごめんなさい..」


黙っている彼。
やっぱり、怒ってるのかなぁ
そう考えると泣きそうになる。

「あの、ごめ...」
「なんだ、良かった。俺、嫌われちゃったかと思ったよ。でも、そうじゃなくて良かった。勝手に誤解してごめんな?」

私からは、自然と涙がこぼれた。なんでだろ、止まらないの。
それに気がついた春斗くんは...

「ちょ、え!?ごめん、ほんとに、ごめんって!」
「ぢがうよー」
「ほら、泣くなって!俺、どうしたらいいかわかんねぇよ?」

そう言うと、ポケットからハンカチを出して、私の涙を拭いてくれた。

「泣くな?ほら、一緒かえろ?」

泣き止まなきゃ...
私は無理やりだけど、彼に心配かけないように笑顔をつくって「うん!」と言った。


彼は私の頭を撫でてから「行くぞ」と言って先を歩いた。

私もそれについていくように後ろを歩き、2人で校舎を出た。