東高の大きなグラウンドを利用しての練習試合。
「………………っ」
私は、そのグラウンドから離れていくように駆け出していた。
ほんの少しの時間だったけど、私は小沢先輩の勇姿を見れた。
スゴくかっこよかったし、もっと見ていたかった。
だけど、今の私にはそれ以上は無理だったの。
側で見ていれば見ているほど、手の届かない存在なのを認めてしまいそうで…。
――『飯は美味くて腹一杯食べれるものを期待してるから』
私は、いつになったら小沢先輩に近付けるんだろう。
サッカーの練習試合なんて、やっぱり見に来なきゃよかった…!!
「――心花!」
「…っ!」
不意に名前を呼ばれ、私はハッとしてその足を止めた。
聞き覚えのある声だ。
小沢先輩が私を追いかけてくれた…なんて、そんなんじゃない。
立ち止まると、私は背後から呼び止めた声の主に振り向いた。
「…優ちゃん…」

