部員たちのバスケットに伸ばす手から、サンドイッチが握られていく。



「スゲェうま!
これ店でも出せんじゃね?」



「本格~っ
夕陽ちゃん、これ本当に手作り?」



たくさん用意したみたいのサンドイッチが、あれよあれよと部員たちの口の中に入っていく。


それはもちろん、キャプテンである小沢先輩の口にさえ――…




「はい、もちろん手作りですよー!
皆さんの為に、早起きして作りましたぁ」



サンドイッチを口にした小沢先輩の表情が、パッと開いた。

きっと、美味しかったんだ!



「まだまだありますよーっ
皆さん、たくさん食べて下さいねー!」



夕陽の振る舞いに、部員たちが盛大に喜んでいる。




違う…っ

それは夕陽が作ったわけじゃないの。

カフェに勤めてるお兄さんが作ったものなんだから、本格的な出来なのは当たり前なんです!




「…………………っ」



…なんて、言いたくても私には言う権利はない。




「夕陽ちゃんがマネージャーになってくれるなんて、ホント良かったなぁ」



「俄然、テンション上げ上げだよ!!」



メンバーたちの中で一緒に食べている小沢先輩。



(小沢先輩――――っ)




こんなに気持ちは誰にも負けてないのに、どうしても縮まらない小沢先輩との距離。


ツラくて、悔しくて、もどかしくて…っ



「………………っ」






私はそのまま誰にも声をかけず、踵を返して駆け出してしまったの。