「ぁ…っ」



その時、チャペルを飛び出そうとした私の腕をギュッと小沢先輩に引かれた勢いで、隠し持っていたホットケーキの包みが落ちてしまった。




「何だ、これ」



「やっ、違うんです!
これは…っ」




慌てて拾おうとしたけれど、それよりも先に小沢先輩はホットケーキの包みを取り、まじまじと見られてしまった。



「ぁ………っ」



「…………………」



中が見えやすいように透明ビニールの包みだから、今きっと私の書いた文字を読まれている。



イヤだ!

またコイツも他の女子たちと同じ事をしてくれやがる。

そう思ってるに違いない!


もっと早くわかっていたら、自分の中だけで諦めるつもりでいたのに。


キレイな思い出だけで終わらせたかったのにっ。



「梅津」



「………はい…」



「これ…」



「…………………っ」





わざわざ小沢先輩の口から迷惑そうな言葉なんて、聞きたくない…っ!!