小沢先輩に言われて、私はようやく自分が泣いている事に気が付いた。



「ぁ…あれっ
おかしいな…何か、勝手に涙が…」



泣くつもりなんてなかったんだけど、とめどなくあふれ出る涙を私は必死に拭った。


でも…泣くつもりはなくても、涙がこぼれ出る理由は自分でもわかっている。



あんなにずっと想い続けていた小沢先輩だけど。

距離が縮まるどころか、最初から私に望みなんてなかったんだ。



迷惑なメッセージの付いたチョコレートをもらうのが嫌で、こんな所で1人身を潜めていたのに。

今私は、他の女子生徒たちと同じ事をしようとしてたんだから…っ




「どうしたんだ?
俺、何か悪い事言ったっけ」



「いえっ、大丈夫です!
あのっ、私もう行きますねっ
それじゃあ…」



渡せるハズがないっ

こんなものをあげても、迷惑だってわかってるから。


もう最初から、意味のない事をしてたんだ――――…




「待てよ!!」