「お 小沢 先輩!?
いつから、そこに…っ」



「…って何だ、梅津かよ。あー、びっくりした」



規則正しく並ぶいくつもの長椅子の間から、ひょこっと姿を現したのは小沢先輩だった。


普通に私が側を歩いた時は気付かなかったから、きっと身を縮ませて隠れていたんだ。



「どうしてこんな所にいるんですか!
学祭の催し、見に行かないんですか?」



「あ?つーかさ、今年の料理部のアレ何なんだよ。
チョコレートもらうのはラッキーなんだけど、何かしら書いてるものばかりじゃんよ」



…あぁ、やっぱり。

何たってサッカー部エースの小沢先輩だもの。
うちの料理部で書いたメッセージ付きチョコレートを渡した女子生徒は何人もいたんだわ。




「…小沢先輩、人気ですもんね。
さっきもまだ探してる女子がいましたよ。こんな所にいないで、早く出て行…」


「だーかーら!
それ困ってるから俺ここに隠れてんのっ」



なんて、迷惑そうに眉間にシワを寄せながら頭を掻く小沢先輩。


え、困ってる?
隠れてるなんて…っ