気合いを入れて作ったホットケーキを持ったまま、すっかり意気消沈してしまった私はフラフラと宛てもなく校庭を歩いていた。


何をやっても、上手くいかない。

気持ちだけは本気なのに、距離は離れていくばっかりだ。



「も…やだぁ……」



小沢先輩に喜んでもらえるサッカー部のマネージャーになりたくて、だからこそ辞退した。


せめて美味しくてお腹いっぱいになれるものを食べさせてあげれるようになりたくて料理部に入ったのに、結局満足してもらえた料理なんて作れなかった。



そうしているうちに小沢先輩はサッカー部を引退してしまったし、せっかく作ったこのホットケーキさえも渡せず仕舞い…




「…………………!!」




何も考えなしに歩いていたつもりだったのだけど。


いつの間にか、まるで私は吸い寄せられたかのようにチャペルの前に来ていた。



入り口正面のてっぺんを見上げると、大きな時計の針が学祭終了間際を差している。



(ドア、まだ開いてる…)



珍しく開いてるチャペルとは言え、せっかくの学祭開催中にこんな所を見に来る生徒なんているわけもなく、中に人の気配はないようだ。