今まであの人は私に好きにしろって言わなかった。全部ああしろこうしろで縛られてばっかだった。
「あ、もちろん期間限定だよ。時が来たらここにあるものすべて捨てて来いだって」
あーやっぱ条件付き。
少しでもあの人が私のことを信用してくれてるって思った私が馬鹿だ。
でもあちの方が馬鹿だわ。
私がここにあるものを捨てるわけないでしょ。
ここにあるものは全部私が頑張ってきたものだ。簡単に捨てるなんてできない。
家もお金も全部私がバイトして得たもの。まーその代わり勉強時間がなくて馬鹿になったけど。
友達もそう。みんな私がどこの家の出身かなんて知らない。みんな私自身を見ているんだ。
「そういえば先輩はあの人の何?」
「志穂里ちゃんの家の執事見習いだよ。あと志穂里ちゃんの大好きなじいやの孫」
まさかのカミングアウト

