「…一緒寝ようよ。新年だし、寒いし」

ぽんぽん、と視線をそらしながらベッドを叩く

「明日の朝、姉のネタにされてもいいなら」

「……、それは…ちょっと…」

にっこりとほほ笑んだ沙希の顔が思い出されてしるふは言い淀む

あれに勝てる気は、しない

「冗談だ。姉貴より先に起きてやるから気にするな」

明らかに残念そうなしるふに笑って、海斗がベッドの方へ移動してくる

寒いなんて、一度も言ったことがない癖に

「…でも、片方に寄ってたらおかしくない?」

沙希なら指摘してくるような気がする

「大丈夫だって。器用なしるふのことだ、俺が抜けた途端ベッドを占領するに決まってる」

「それ、ちょっと失礼なような気がするなー」

うれしさ半分、少しすねた様に首をかしげる

そんなしるふに海斗が笑いながら優しく布団の中に引きずり込む

初めて横になる海斗の実家のベッドは、

いつもより狭いけど、

やっぱり変わらない香りだった






おまけ 完