「しるふちゃん、すごいね。尊敬するよ」

はあ、と冷たくなった手に息を吹きかけながら亜紀がしるふを見上げる

「尊敬?」

「だって、あの海斗と3年も付き合えるんだもん。言い換えれば、あの海斗を3年も繋ぎ止めておけるんだもん」

本当、尊敬する

「そうかなあ」

「そうだよ。海斗が優しいのは知ってるけど、わかりにくいからさ」

「それはね、私も同感。本当誤解招きやすいからなー、黒崎先生は」

ふふふ、と微笑みながら道に並ぶ屋台を眺めるしるふをそっと盗み見る

しるふと海斗は、亜紀と弘毅が何年もかかってたった場所にもうすでに立っている気がする

お互いの口調や表情を読み取れて、変に気兼ねすることもなく

それこそ大口を開けてハンバーガーだって食べられる

どんなことを口にしていたって、心はすぐそばにあるのだとそう思えることができる