「あ、あの。高校と大学の時の海斗ってどんなんでした?」

しるふの知らない海斗

出逢ったころにはすでにいろんな意味でたくさんのものを悟っていたような気がする

いつか当時の海斗を知る人に会ったら聞いてみたい、とずっと思っていた

「今とは打って変わってハチャメチャだった、って言いたいけど。残念、基本あのまま」

弘毅の言葉に、「なんだ、つまんない」としるふは肩を落とす

もう少しからかいに使えるような情報を得られるかと思ったのに

「もしかしたら今より閉鎖的だったかもしれない」

「閉鎖的?」

というと?

「醒めてたというか諦めていたというか。どうせ…みたいなところがあった」

特に寄ってくる女に対して

「ああ、でもそれは今もありますよ。黒崎先生はみんなの憧れですから」

「あ、やっぱり海斗ってモテるんだ?」

相変わらず、罪な奴

「モテますよー。浮気し放題、され放題」

「へー、急患で運ばれてきた患者さん、とか?」

しるふの冗談にのったのは弘毅だ