「まあ、これでも姉貴の弟になって早何十年。それくらい学ぶさ」

「ちょっと、それどういう意味よ」

「さあ?」

とぼけた海斗は、ふと立ちあがる

どうやら、ひざの中で可奈がしきりに「けーき、けーき」と騒いでいたので、

準備をしに行ったようだ

キッチンに消えていく海斗の後ろに可奈が続く

「しるふちゃんて、偉いよね」

消えていく二人の背中を微笑みながら見つめていたしるふに、沙希が話しかける

「さっきちょっと覗いてみたんだけど。ちゃんとチーズケーキ入ってた」

あれって、海斗用でしょ?

「ああ…、なんか癖なんですよね、たぶん」

ほら、独りより二人で食べたほうが絶対おいしいじゃないですか

指摘されて、少し恥ずかしそうにはにかむ

「しるふちゃんは、海斗にはもったいないなー」

悟った、というように天井を見上げる亜紀のつぶやきが消えていく