な~んか、そっけない。小声だったし、周りに誰かいたのかな?
でも、仕事中に電話かけてくるなんて珍しい。
私もだけど、ふふっ。木材が届くの、よっぽど待ち遠しかったんだろうな~。
清久の部屋に、また自分の作品が一つ増える。
込み上げてきたその喜びに浮かれ今にも小躍りしそうな自分を、
咲樹は頭を振り戒めた。
そして、清久の部屋で存在感のあり過ぎる
大きな大きな、ガラガラの本棚を思い浮かべ自分にきつく言い聞かす。
自己満足はダメ。
使う人のニーズに、生活に沿う家具を造らなきゃ!
そう心で決意し、
社長が待つ倉庫へ急ぐ咲樹の顔はだらしなく緩みきっていた。
