――件名――
例の黒柿、一番に見せてもらえたよ
――本文――
サイドテーブル用の木材、入荷したって。
サンプル板貸してもれえると思うから、持って行ってあげる。
土曜? 日曜?
都合のいい日教えて。
ほいじぁ、仕事がんばって!
絵文字など一つも無いそっけない文面。
しかし最後に付け加えた、最近、残業続きの清彦を気遣った一文に
気恥ずかしさを覚え、咲樹は急いで送信ボタンを押す。
送信完了の表示を確認し、
ポケットに戻そうとした携帯電話が今度は手の中で震えだした。
今、メールを送ったばかりの清久からだ。
「もしもーし」
嬉しいことが続いた咲樹は、すこぶる上機嫌で電話にでた。
