やさぐれ女の純情



そんな思いを汲み取ってか、


してない約束をしたと言ってくれる社長に咲樹は素直に感謝した。


「はいっ。ありがとうございます。


 でも、もし屑がでれば、ですからね?


 ちっちゃ~いので十分ですからね?」


「ああ、分っているよ」


口ではそう言っても、


社長は五センチ四方以上の屑をくれるだろう。


咲樹が木製家具のデザインコンペティションで入賞した数点の作品よりも、


屑コレクションを褒め、そのうちの何枚かを本気で欲しがる。


そんな人だ。


「あっそういえば。この前、在庫が無かった二種類の木材、もう入荷したよ」


「えっ、見せてもらっても良いですか?」


「もちろんだよ。じゃあ、戻ろうか」


二人は、今日お披露目されたクロガキの他にも保管されている


数々の銘木たちに熱い視線を送りながら


〝宝庫〟と呼ばれているその倉庫をあとにした。