数百年の時を生き抜いた柿の古木の中から、 黒柿と呼べる木に出会えるのは一万本に一本の確率だとも言われている。 地域によってその確率は大きく変動するが、 とても希少であることに変わりはない。 そんな希少な黒柿の中でも、 ――これ以上の物にはきっと出会えない―― と思わせてくれるほど銘木だ。 欲しくないわけではないが、 手に入れた経緯を知っているのに横から 〝余ったら下さい〟なんて 二人の思いを汚すようで、死んでも言えない。