「咲樹ちゃん」 待たされていた間、 黙々と作業に打ち込む背中が大きく曲がったおじいさんの傍らで、 咲樹は神業としか言いようがないその鉋がけに見惚れていた。 「ほれっ、咲樹ちゃん。行くよ」 自分の声が耳に届かないほどの集中力で、 職人の技を凝視している咲樹の肩をつついてきたのは この木材店の社長。