――んぐっ―― 咲樹は、十二分に噛んだ玉ねぎを清久から奪ったビールで流し込むと、 今度は一度に三枚の玉ねぎをほおばった。 最初は固いと思ったが、この歯ごたえがたまらない。 再びシャリシャリと音を立てて噛み始めると、 油断していた咲樹の手から清久がビールを奪い返した。 手にした缶をしばらく見つめ、咲樹の唇に付いている まだ固まりきれていない真っ赤な瘡蓋にちらりと視線を送ったあと、 清久は喉を逸らして 大量に含んだ一口のビールを苦しそうに呑み込んだ。