「……で?なんでアンタが私の家にいるのかしら?」

「はんれふか?」


口にたくさん食べ物を詰め込みながら首をかしげる魔法使い。


「はーーぁ。…とりあえず全部食べてからでいいわ」


再び食事を再開した魔法使いを見ながら私はもう一度ため息を吐いた。
私も、自分の分の朝御飯を食べ始める。

というか、なんで私ってばコイツの分のご飯も用意してしまったのだろうか…。完全にペースに飲み込まれてる感が否めないが、考え出したらまたため息を吐いてしまいそうだったので、食べることに専念する。






「ふぅ~、美味しかったです!ありがとうございます、ユリアさん」


満面の笑みでそんな風にお礼を言われ、なんだかこっちまで嬉しくなってしまう。


「そ…そう。それは良かったわ」


食後にコーヒー淹れ、魔法使いの前にも用意する。そしてそのコーヒーもまた美味しそうに飲んでいた。



「で?なんで朝からウチに来てるのよ」

一息ついたところで、話を切り出す。
すると魔法使いは、ニコニコ顔をスッと真面目な顔に切り替え、

「それは…」

切り替わった空気にゴクリと唾を飲み込む。


「……僕をころ」
「それ以上は言わせないわよ!!!!」


コイツの言いたいことが瞬時にわかり、言葉を挟んだ。


「ユリアさん~~~。せめて最後まで言わせて下さいよー」


僕のお決まりの言葉がぁ~!などと喚いているが、無視する。
私は立ち上がり、玄関の扉をバンッと勢いよく開ける。
気持ちの良い風が室内に入ってきた。玄関の先には青い空が広がり、とてもいい天気のようだ。


「さ、お帰り下さい」

「待って下さい!早すぎませんか!?」

「なにが?勝手に部屋に浸入してきたヤツにご飯も用意して、おまけに食後にコーヒーまで出してあげたでしょう?これ以上長居する必要がどこにあるっていうの?」

「あります!」


魔法使いが勢いつけて立ち上がったせいでテーブルの上の食器がカシャンと鳴る。

なによ?と一応聞いてみる。


「まだユリアさんが僕を殺してくれてないじゃないですか!!」



コイツは………っ!!!!!