触れてみたい〜愛しい彼女の傷跡〜

予想外のことに俺は驚き、まだろくに噛んでもいないおかずをそのまま飲み込んでしまった。

「っ!!な、なんだよっ?」

「どうっ!?」

俺がむせるのを必死にこらえ言った言葉も虚しく、まったく話を聞いていない冬花が質問返しをしてくる。

俺は喉の違和感を必死にこらえながら言葉をしぼりだす。

「う…うまいけど…」

「よかったぁ…」

冬花はやっと落ち着いたのか、笑って座りなおした。

俺はというと、少し息が苦しくて慌て始めていた。

━━ヤベ。喉つまったかも…

見ると冬花の足元にお茶が置いてあるのが見えた。

「あ、ちょっと飲みもんもらっていー?」

我にもすがる思いでお茶に手を伸ばす。

「あ、うん」

俺がペットボトルに口をつけようと傾けたときに冬花が慌てた様子で俺につかみかかった。

「口はつけちゃダメ!!」

彼女の訴えも虚しく、俺の口はペットボトルに触れてしまった。

冬花が揺すった衝撃でお茶が勢い良く流れ込んできた。

うまく飲み込みきれなかったお茶が気管に入り込み、ついに俺はむせた。

「ゲホッ…。ごめ、気、付くの遅かっ…」

冬花の顔が徐々に赤くなっていった。