触れてみたい〜愛しい彼女の傷跡〜

「あー…。忘れた」

後で戻ったら食えばいいや…

そんなことを考えていると、冬花が持ってきていた小さなバックをあさった。

「じゃあ…コレ、食べる?」

冬花は俺と目が合わないように視線をそらして、弁当箱を差し出した。

「え、でもコレっておまえのじゃ…?」

「この前のお返し。それに私のはこっちにあるんだ。」

冬花はピンク色の巾着を指差した。

「でもかしって…。おまえわざわざ作ってきたのか?」

━━俺が今日昼飯持ってくる可能性もあるのに?

「いいから黙って食べなよ!まずくても文句無しねっ」

冬花は無理矢理俺の胸に弁当を押しつけると背を向けて、自分の昼メシを食べ始めた。

「…さんきゅ」

俺は少し惚けながらも弁当のふたを開けた。

見た目の色合いもよくとても美味しそうなおかずにわくわくしてくる。

冬花が俺のために弁当を作ってくれるなんて思ってもいなかった。

嬉しすぎて、食べてしまうのがもったいなく感じなかなか手を付けられない。

やっと、一口おかずを口に入れると冬花がじっとこちらを見ていた。