触れてみたい〜愛しい彼女の傷跡〜

冬花はその後もやっぱり人気者だった。

男女問わず彼女のまわりには必ず誰かがいた。

例のランキングも冬花に票を入れる奴が多くなり、冬花が一位になるのには二日もかからなかった。

「なぁなぁ、冬花ちゃんってどーゆー奴が好きなのかな?」

五島は最近、冬花のことばかりを話すようになった。

「んなこと俺が知るわけねぇだろ」

「だよなぁ…。やっぱ聞きに行くか!」

「はっ!?」

俺が後ろを振り向いた時には、五島は冬花のもとへ走っていくところだった。

俺は呆れつつも遠くからそれを見ていた。

五島に声をかけられ、冬花が困った顔をしたとたんにまわりにいた女子が五島を追い返していた。

しょんぼりして五島が戻ってくる。

「使えねー奴だな。」

俺は頬杖をしながらため息をはいた。

「葉山ぁ。俺ってそんなにキモいかぁ?」

「キモい。俺に泣き付くなバカ」

向こうにいる女子の冷たい視線と俺の背中にのしかかってくる五島の体重。

「だーもー。うっとおしいっ!!」

五島を突き放すと、女子の痛いほど突き刺さってくる視線から逃げるように教室からでた。