「そうだなぁ。20年先の2028年から自転車型タイムマシンでやって来たんだ。真衣を捜しに…この半年間、ありがとう! 二人で過ごした日々は絶対忘れない。本当に幸せだった」


「だったって何? どこにも行かないで、ずっーと傍にいてよ。お願いだから…もう、仕事のこととか言わないからお願い。鉄平しかいないのよ。ふぇーん…ぇーん」



「真衣、仕事もしないでごめんなぁ。今度、逢える時は仕事するから。 真衣は俺にとって一生に一度の本当の恋だったよ。 もう、時間だから行かなくちゃ。ごめんなぁ。 まーいー…愛してる…」



そう言うと鉄平は、足元から少しずつ消えて最後は見えなくなってしまった。


「鉄平!ねぇー鉄平!どこ?一人にしないでよー。お願いだから!鉄平がいないとダメなんだから。本当に鉄平がいないと私どうしたらいいかわからない?鉄平ー。え…ぇーん」



鉄平からの返事は無かったが、真衣に風が吹いた。



それは、やさしく包み込むような風だった。