――雨が激しく降っていた。 そんな中、六波羅の館の門を叩く女が一人。 「まあ……!朝子殿っ」 時子が駆け付けた所に居たのは、信西入道の妻・朝子だった。 「夫を…っ、夫を、どうか助けて下さりませっ!」 時子は朝子の形相から、ただならぬことが起こっていることを悟った。