「ほら重次。泣くでない」 そう言い、微笑む経子と重盛。 その様子を見た重太が経子の袿の裾を引っ張る。 「まあ」 重次を重盛に任せた経子は微笑み、重太の頭を撫でた。 二人とも重盛が外に作った子とは言え、経子を実母のように慕っていた。 「では、母上の申すことに従うのだぞ」 「はいっ」 「うふふ。行ってらっしゃいませ、殿」