「では殿、お気を付け下さりませ」 「うむ、行って参る」 今、信西入道が遣宋使復活を実現しようとしている。 その為、平家は熊野へ祈願しに詣るのだ。 「ちちうえぇ〜」 「おお。重太、良い子で待っておれ」 駆けてきた息子を抱き上げ…首を傾げる重盛。 「……経子、泣き声が」 「あら!もう目を覚ましてしまったのですか」 そう言って立ち上がった経子が、暫くすると赤子を抱いて戻ってきた。