「貴女が妻となること…誠に、嬉しゅうございました」 赤面する重盛を見て、経子は目頭が熱くなった。 (誠に、私などと添えて嬉しいと思って下さるのですか…?) 「苦労をさせることも多いはず。それでも…そんな夫でも良いでしょうか、経子?」 今度は経子が赤面する番だった。 (今…経子、と) 優しく微笑んだ重盛は、経子を抱き寄せた。 「はい…殿」 幸せを噛み締める経子だが。 重盛の表情に未だ暗い部分があるような気がした。