(やはり、御様子が…。具合でもお悪いのでしょうか) 重盛の深刻そうな顔はどんどん強くなるばかり。 「あの…重盛さま…?」 ゆっくりと経子の方を向く重盛。 「…――し訳ござりませぬ…」 「えっ?」 経子には、重盛の言葉が聞き取れなかった。 「〜っ申し訳ござりませぬっ!!」 凄い勢いで上座から降り、経子に平伏する重盛。 「……重盛さま………?」 「此度の御縁、無かったことにして頂きとうございます!」 静まり返る広間。 経子は言われたことの意味を、直ぐには理解できなかった。