朝から、経子の胸は高鳴っていた。 (いよいよ…今日なのですね) 重盛と経子の婚礼の日だ。 (重盛さま。経子は、この世一の幸福者にござります…) 未だ夢見心地の経子は、兄たちへの挨拶も済ませ、牛車に揺られて六波羅へと旅立った。