その声に安心した経子は人影に近付いた。 「重盛さまにございましたか。如何なさりました?」 「いえ、寝付けなくて。経子殿は…?」 「わ、私も同じにござりまする」 それを聞くと、重盛はふわりと微笑んだ。 (なんとお優しそうな…。かようなお顔もなさるのですね)