矢刺さる先に花開く



――目を覚ました経子が真っ先に見たものは、涙ぐんだ和泉の顔だった。


「…つ、経子様!?お目覚めになられたのですね」


「ん……和泉…?」


「経子様が…北の方様が目を覚まされましたっ!」


和泉の声を聞きつけ、重盛が駆け足で入ってくる。


「殿……」


「……経子…っ!」


経子の体を抱き締める重盛。


そのせいで、未だはっきりと覚めていない眠気が吹き飛んだ。


「と、殿!?」


(和泉もおると申しますに…!)


赤面する経子とは違い重盛の涙声に、抵抗をやめた。


「よく…逝かないでくれた……」


「殿…御母君のお陰様にございます」


「……え…?」


「明子様が、お助け下さいました」


暫く何かを考えていた重盛も、「左様か」と微笑み、再び経子を抱き締める。


程無くして、子等や徳子、時子も入ってきた。