矢刺さる先に花開く



「えっ?な、何故かような場所に!?」


「兎に角、早う此方へ!」


明子に引っ張られるようにして川から上がり、館へと戻る。


辺りが暗すぎることに気付いた経子は空を見上げた。


(――月が、無い…?……確か、今宵は新月ではないはず…)


ぞっとしながら、ますます分からなくなった。


(何故、私は川になど…!?何故、かように訳が分からぬことばかり起こる…!?)