「暫しお待ちなさい…今、母が参ります故」 虚ろな目の経子は呟き、無意識のまま外へと向かう。 『経子…経子……早う参れ』 最後に聞こえてきたのは、重盛の声。 「殿…お待ち下さりませ。もう少し、もう少しでそちらに……」 再び意識が薄れてきたその時。 「経子殿っ!!」