「どうぞ、お召し上がり下さい」 経子が差し出した膳を今にも平らげてしまいそうな平家の棟梁一家。 (流石は名高い武門だわ) 「重盛さま、御代わりは如何にございましょうか」 「では。すみませぬ」 と言っても尚、経子の顔に視線を向けている重盛。 「あ…あの、何か付いておりましょうか」 その言葉に、重盛ははっとしたような表情を浮かべた。 「いや…!申し訳ござりませぬ」 (如何されたのでしょうか) 重盛の端正な顔は、未だ何か思案しているようだった。